2023/02/27 12:01



私たちアットグリーンは、魚沼市内の人里離れた集落「福山新田」でお米を育てています。

この地域は標高約400mで、いわゆる「中山間地域」と呼ばれる、農業には不利な土地です。

実際、ここで活動している私たちからみても、他よりも手間がかかる割に収量が少ないということが多く、お世辞にも恵まれた環境とは言えません。

しかし私たちは、この土地ならではの恩恵も多く、苦労した分、本当に美味しいお米ができることを知っています。

そこで今回は、私たちが「なぜ福山新田という土地にこだわって稲作に取り組むのか」「なぜこの土地のお米は美味しいのか」その理由をお話しします。

一般的な盆地よりも激しい寒暖差


お米の美味しさは「どこで作られたか」という環境要因が大きく左右します。  

つまり、同じコシヒカリであっても「魚沼産」のような産地によって、食味が変わるということです。

さらに、同じ魚沼産コシヒカリの中でも「川をはさんで東側で作られたお米と西側で作られたお米では味が違う。」と考える飲食店の店主がいるくらい、美味しいお米を選ぶためには、そのお米がどの土地で作られたのかということは重要なポイントです。

私たちが主にお米を作っている「福山新田」という地域は、標高が高く、冷気が溜まりやすい盆地です。 
一般的に盆地は、一日の中での寒暖差が大きいという特徴があります。

しかし、標高が高い山間部でなおかつ盆地でもある福山新田は、朝の冷え込みがかなり強く、特に昼夜の寒暖差が激しくなります。

 これによって、福山新田の稲はデンプンをより多く蓄え、甘み・香り・粘りの強い美味しいお米に育つのです。  

混じり気のない雪どけ水


福山新田は、冬になると4m近くの積雪を記録することも珍しくない、日本屈指の豪雪地帯です。
この大雪は夏場ごろまで残り、ミネラル豊富な雪どけ水として活躍してくれます。

また最上流地域である福山新田では、この雪どけ水が山に染み込み、川へと流れ、田んぼに行き着く間、生活排水が混入することがありません

水が命と言っても過言ではない、水田でのお米づくり。
福山新田での栽培では、冬場の大雪を「クリーンでミネラル豊富な雪どけ水」として、長期間田んぼで活用することができます。

自然が恵んだ肥料を活用


福山新田は、山々に囲まれた自然豊かな地域です。
そのため田んぼには、野生動物の糞尿・落ち葉などが特に豊富。

これらの有機物は土の中で微生物が分解することで、「天然の肥料」としてお米の生育に最適な栄養たっぷりの土壌を生み出してくれます

また、田んぼの土の中には一握りの土に10億、100億の微生物がい微生物がいるとも言われています。
その微生物たちの活動が活発だと、土の温度を高まり、冷害から田んぼを守ってくれるのです。

また、水質を浄化などの役割もあり、自然豊かな中山間地域ならではの恩恵だと言えます。

人も土地の休み休み


ここまで、福山新田のお米が美味しく育つ理由をお話ししてきました。

最後に、福山新田に限ったことではありませんが、私たちが美味しくお米を作るために大切だと考えていることお話しします。

魚沼のように雪深い地域では、冬季になるとほとんどの土地が雪に覆われてしまいます

そのため、二毛作(同じ年に同じ土地で二度の栽培)ができません。
冬は農家としての活動ができなくなる反面、約半年もの間、土地を休めることができます

福山新田でのお米作りは、平地と比べ多くの手間がかかる割に収穫量が少ないというリスクも伴いますが、最大限のパフォーマンスを発揮して毎シーズン美味しいお米を作るためには、人も土地もしっかりと休養の時間を取ることが重要だと考えています。

毎年くり返されるお米作り。
私たちはどんな悪条件であっても、福山新田で育ったお米は本当に美味しいと知っているため、この土地にこだわり、毎日根気強く、手間ひまを惜しまず大切に生産しています